交叉咬合(クロスバイト)

交叉咬合を詳しく解説!
健康な歯並びへの第一歩

交叉咬合を詳しく解説!健康な歯並びへの第一歩交叉咬合は、歯の不正咬合の一種であり、上顎の一部の歯が内側に位置して、下顎の歯と咬み合っている状態を指します。
この状態は、自身が気づきにくく、学校や職場の歯科検診などで指摘されて分かることもあります。
こちらのページでは交叉咬合の原因や治療方法などについて、詳しくご紹介していきます。

目次

こんなお悩みありませんか?

咬み合わせが悪い気がする

食べ物の咬みきりが甘い

検診で交叉咬合を指摘された

叢生(そうせい)気味である

咬み合わせが悪く虫歯になりやすい

歯磨きがしづらい部分がある

交叉咬合(クロスバイト)とは

交叉咬合(クロスバイト)とは正しい咬み合わせは、上下の歯が噛み合うときに上顎の歯が下顎の歯よりも2〜3mm外側に位置しています。
しかし、一部の上顎の歯が下顎の歯より内側に位置して生えてしまうことがあります。
これを交叉咬合(クロスバイト)といいます。
骨格的な要因が多いですが、後天的な要因でも発生するケースがあります。

交叉咬合は、1本の歯に限らず、複数の歯が下顎の歯より内側に位置することがあり、特に奥歯にみられることが多いです。
上顎の歯が生える過程で、何らかの理由で1本でも下顎の内側に位置してしまうと、顎の成長に伴い咬み合わせがずれることがあります。
すると、顎の成長に影響し、顔の左右非対称が生じることもあります。

顎が曲がった状態で成長が完了している場合、外科手術が必要になることもあります。
そのため、顎の成長段階で「交叉咬合」と指摘された場合は、できるだけ早く治療を受けることで、患者様の負担を最小限に抑えた治療が可能となります。

交叉咬合の原因

交叉咬合の原因●遺伝
親子で体型が似るように、顎の骨や歯の形状も遺伝することがあります。
ご家族やご親族に交叉咬合の方がいる場合は、遺伝が影響している可能性があります。

 

●顎の発育
上下顎の発育のバランスが崩れると、十分に噛むことができず、歯が適切な方向に移動することがあります。
その結果、交叉咬合が生じることがあります。

この状態は主に子供の頃に発生しやすく、上顎の成長が不十分だと生じやすいです。
また、乳歯が交叉咬合になっている場合、永久歯に生え変わっても同様の状態が続くことがあるため、注意が必要です。

 

交叉咬合の原因●乳歯の早期脱落
永久歯が生える準備が整っていない段階で、虫歯などの理由で早期に乳歯が抜けると、周囲の歯がその空いたスペースに移動してしまいます。
その結果、永久歯が正常な位置や方向に生えることができず、交叉咬合が生じやすくなります。

 

●習癖
歯は持続的に力が加わると移動する性質があります。
「指しゃぶり」「舌癖」「頬杖」「口呼吸」などの日常的な習癖があると、交叉咬合が発生しやすくなります。
これらの習癖が原因で交叉咬合が起きている場合、習癖の改善が大切です。
たとえ歯列矯正で交叉咬合を治療できても、習癖が続いていると、治療後に再び歯が元の位置に戻る「後戻り」が起こる可能性があります。
そのため、矯正治療と並行して習癖の改善を行うことが重要です。

交叉咬合(クロスバイト)が
もたらす影響

交叉咬合(クロスバイト)がもたらす影響●顔にゆがみが生じる
上下の歯が正しく咬み合わず、上顎の歯が下顎の歯より内側に位置する状態を放置すると、成長過程で顎がズレたまま成長し、顔のゆがみを引き起こす可能性があります。

 

●顎関節症
咬み合わせが正常でない場合、顎関節に負担がかかり、顎関節症を引き起こすことがあります。

顎関節症になると「顎がカクカクする」「お口を開けると顎が痛む」「お口を大きく開けづらい」などの症状がみられます。

 

●咀嚼障害
交叉咬合になると、適切な位置で咬み合わないため、咀嚼に影響が生じます。
しっかり咬むことができない状態で食べ物を飲み込むと、消化器系に負担がかかる可能性があります。

 

交叉咬合(クロスバイト)がもたらす影響●一部の歯へ大きな負担がかかる
交叉咬合では上手く咬み合っていない部位をカバーするように、一部の歯に過度の負担がかかることがあります。
失われた歯は元には戻りませんので、自分の歯を守るためにも交叉咬合の治療は非常に重要です。

 

●全身の不調
左右が非対称な咬み合わせになると、顎の筋肉のバランスや、咀嚼のバランスが悪くなります。
その結果、肩こりや頭痛などの全身の不調を招くことがあります。

交叉咬合(クロスバイト)の
予防方法

交叉咬合(クロスバイト)の予防方法●習癖の改善
指しゃぶり舌癖頬杖口呼吸などの習慣は、交叉咬合の原因となる可能性があるため、改善するようにしましょう。

 

●バランスの取れた食生活
柔らかい物ばかり食べていると顎の骨に適度な刺激が伝わらなくなり、成長に影響を与えてしまう恐れがあります。
よく咬んでバランスのとれた食事を意識しましょう。

 

●気になることがあれば医院へ相談する
乳歯の早期脱落は、その後に生えてくる永久歯に影響を及ぼすため、永久歯がなかなか生えてこなかったり、生えてきた位置に不安があったりする場合は、一度ご相談ください。

交叉咬合(クロスバイト)に
対する治療法

学園前いのうえ矯正歯科では、交叉咬合に対する効果的な治療法を提供し、正常な咬み合わせを取り戻すお手伝いをしています。

マウスピース矯正(インビザライン)

マウスピース矯正(インビザライン)インビザラインは、透明に近いマウスピース(アライナー)を使用し、一定期間ごとに新しいマウスピースに交換して歯列を徐々に移動させていきます。

インビザラインでは、口腔内を光学スキャンし、デジタルの歯型をとることのできる
「iTero(アイテロ)」という機械を使用していきます。
この iTeroでスキャンしたデジタルデータを基に、治療用のアライナーを作成していきます。
また、スキャンしたデジタルデータを使用して、その場で治療終了時の歯並びをシミュレーションすることも可能です。

マウスピース矯正の
メリット・デメリット

マウスピース矯正のメリット<メリット>
●装置が目立たない
マウスピース自体が透明で目立たないため、周りの人に気づかれにくく、見た目にストレスを感じることもありません。

 

●歯の動きに合わせて段階的に移動するため痛みが少ない
インビザラインは、厚さが約0.5mm程度と非常に薄く、装着時の違和感が少ないのが特長です。
歯に優しくフィットし、歯の移動を徐々に行うため、ワイヤー矯正に比べてインビザラインの治療中の痛みは少ないといわれています。

 

●食事や歯磨き時に外せるため口腔内の衛生を保ちやすい
インビザラインのマウスピースは取り外し可能であるため、食事や歯磨きの際に装着を外すことができます。
これにより、通常の食事を楽しむことができ、歯磨きも簡単に行えるため、口腔衛生を保つことができます。

 

マウスピース矯正のデメリット<デメリット>
●全ての症例に適用できない場合がある
インビザラインは、一般的に軽度の不正咬合に適しています。
しかし、骨格的な不均衡が著しい場合や、歯の移動が大きな場合など、インビザラインでの治療が難しい場合があります。
治療の適否は、事前に検査と診断を行い、患者様の状況に基づいて判断されます。
もし、インビザラインが適さないと判断された場合、他の矯正方法をご提案することがあります。

 

●長時間装着が必要で、適応するまでの違和感がある場合がある
インビザライン治療では、一日に20〜22時間はマウスピースを装着する必要があります。
ほとんどの時間をマウスピースを装着した状態で過ごすことになります。
この装着時間を守らないと、治療期間が延びたり、治療の成果が出にくくなったりすることもあります。
治療初期の段階では、今までと口の中の状態が変わるため、違和感を感じることがあります。

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正ワイヤー矯正では、歯にブラケットと呼ばれる小さな金属やセラミックの装置を取り付け、それにアーチワイヤー(弧を描く金属ワイヤー)を通します。
アーチワイヤーは、歯を理想的な位置に引っ張る力があり、その力によって歯が徐々に移動させていきます。

ワイヤー矯正のメリット・デメリット

ワイヤー矯正のメリット<メリット>
●対応症例が幅広い
ワイヤー矯正は歯を大きく動かすことが可能で、多くの症例に対応してきた実績とデータがあります。
そのため、難症例や抜歯を伴う治療にも十分対応できます。

 

●固定装置であり、自己管理の負担が少ない。
装置が歯に固定されているため取り外しの手間がかかりません。

 

●微細な調整が可能
矯正治療終盤に差し掛かった際に、ワイヤー矯正であれば細かい気になる箇所を調整することができるため、効率的な歯の移動ができる。

 

ワイヤー矯正のデメリット<デメリット>
●矯正装置が目立つ
ワイヤー矯正は、基本的にブラケットとワイヤーを歯の表側に装着するため、矯正装置が目立ちます。
そのため、人前に立つことが多い方や特に外見に敏感な方は、ストレスを感じやすいです。

 

●痛みが強い
ブラケットに通すワイヤーを調整し力を加えることで歯を移動させるため、痛みが強く出るケースがあります。
特に矯正治療の開始直後は痛むことが多いです。

 

●定期的なメンテナンスが必要
装置の取り外しができないため、歯磨きがしにくく、歯と歯の間やワイヤーの隙間に食べかすが残りやすくなります。
その結果、虫歯歯周病の発症リスクが高くなります。
ワイヤー矯正中は、クリーニングなどのメンテナンスが必要になるため、定期的に歯科医院を受診するようにしましょう。

よくある質問

  • 交叉咬合による顎のゆがみを治療するには、手術が必要ですか?
    骨格に原因がある交叉咬合の場合、外科手術が必要になることがあります。
    患者様の状況に応じて、適切な治療方法をご提案いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。
  • 治療中に抜歯が必要な場合があるのはなぜですか?
    歯を適切な位置に移動させるためには、歯のスペースを確保することが必要です。
    そのため、抜歯が必要なケースもありますが、治療計画は個々の状況によって異なります。
  • 治療期間はどのくらいですか?
    個人差はありますが、通常は2〜3年の治療期間が必要です。
    治療計画や進行状況によって変動することがありますので、専門家との定期的な相談が大切です。
  • 交叉咬合の治療は必要なのでしょうか?
    交叉咬合は、一見、見た目や症状に問題がないように思えるかもしれません。
    しかし、咬み合わせに影響を与える可能性があるため、改善が望ましい状況です。
    専門家の診断を受け、治療の必要性を確認しましょう。
  • 交叉咬合の場合は、いつから治療を開始したらいいのですか?
    5歳以下の場合は、悪習癖がある場合が多いため、この癖を改善するよう指導していきます。
    6歳以降は、悪習癖を治しつつ、顎の成長に合わせて、コントロールしながら歯並びと上下の顎の関係を治していきます。
    この時期であれば、抜歯をする可能性も低く、顎の成長がコントロールしやすいため、歯並びを整えるのに適した時期といえます。

著者井上 智裕(いのうえ ともひろ)

●ご来院される皆様へ一言
少しでも負担の少ない矯正治療を心がけております。
見えない・抜かない矯正にご興味がある方はお気軽にご相談ください。

井上 智裕(いのうえ ともひろ)