過蓋咬合(かがいこうごう)
過蓋咬合(かがいこうごう)を改善して、
理想の咬み合わせと
笑顔を目指そう
子供の前歯が大きく見える、口を開けにくそうにしているといったお悩みは、「過蓋咬合(かがいこうごう)」の可能性があります。
過蓋咬合は、遺伝的な要因や、生活習慣、口の使い方といった後天的な要因によっても発症することがあります。
お子様の健やかな成長に悪影響を及ぼす恐れがあるため、注意が必要です。
今回は、過蓋咬合の症状や原因、治療方法について詳しく解説していきます。
目次
こんなお悩みありませんか?
奥歯で咬んだ時に上顎の歯だけ見える
下顎前歯が上顎の歯肉に当たる
笑った時に歯茎が見える
奥歯で咬んだ時に顎が痛む
上顎がかなり被る
繰り返し歯肉炎などが起こる
過蓋咬合(かがいこうごう)
とは
過蓋咬合(かがいこうごう)とは、上顎(上の前歯)が下顎(下の前歯)を過剰に覆いかぶさっている状態を指します。
別名「ディープバイト」とも呼ばれています。
通常、上顎前歯が下顎前歯を2〜3mm程度覆う深さが理想的とされます。
しかし、それ以上深く覆っていたり、下顎の歯がほとんど見えないような場合、過蓋咬合の可能性が高いと考えられます。
過剰に深い咬み合わせになっているため、上顎前歯が大きく見えたり、上顎の歯肉が目立つ「ガミースマイル」に悩んでいたりする方も多いです。
また、深い咬み合わせにより、上顎の歯肉に下顎前歯が当たる状態のため、歯肉の炎症を起こしやすく、下顎の前方への動きに制限が生じ、顎関節症の症状が発生することがあります。
過蓋咬合の場合、通常の「出っ歯」や「叢生(そうせい)」などの不正咬合も同時に発生することがよくあります。
過蓋咬合(かがいこうごう)
の原因
●遺伝
ご家族に過蓋咬合の方がいる場合、その子どもも過蓋咬合になることがあります。
特に下顎の奥歯の高さが足りない、上顎の過剰な成長、または上下顎の不均衡が過蓋咬合の原因となります。
また遺伝的に上顎前歯が前方に突き出るように傾斜して生えていたり、内側に向かうように生えていたりする場合も過蓋咬合になりやすいです。
●奥歯の問題
奥歯の虫歯を治療せずに放置してると、奥歯を失って咬み合わせの位置が深くなり、過蓋咬合を引き起こす可能性があります。
また、入れ歯やインプラントが必要にも関わらず、治療を放置すると過蓋咬合を引き起こすことがあります。
●習慣
頬杖をつく、うつぶせで寝る、指しゃぶり、唇を咬むなどの癖も過蓋咬合の原因になることがあります。
また、歯ぎしりや食いしばりも過蓋咬合を引き起こす可能性があります。
特に食いしばりは、過度に咬む力が加わってしまいます。
すると、奥歯を押し込むようになるため咬み合わせが低くなり、過蓋咬合となることが多いです。
●乳歯の早期脱落
何らかの原因によって乳歯が早く抜けると、過蓋咬合のリスクが高まります。
また、成長期にすでに過蓋咬合の場合、下顎の成長を妨げる可能性があります。
乳歯の過蓋咬合は経過観察が一般的ですが、永久歯が生える頃からの成長期の時点で過蓋咬合であった場合は、歯列矯正が必要なケースもあります。
過蓋咬合(かがいこうごう)が
もたらす影響
●歯に負担がかかる
過蓋咬合は、歯に過度な負担がかかるため、歯がすり減ったり、最終的に歯を失ったりすることがあります。
自覚しにくい症状のため、徐々に歯がすり減っていくと、冷たいものなどに過敏に反応することもあります。
一度すり減った歯は、二度と元に戻りません。
さらに進行すると咬み合わせが深くなり、過蓋咬合が悪化し、歯を失うリスクが高まります。
●歯肉の炎症
重度の過蓋咬合では、上顎前歯の裏側の歯肉が下顎前歯の先端に当たることがあります。
また、上顎の前歯が下唇や下顎の歯肉を刺激することもあります。
長期間歯肉が刺激されると、歯周病が悪化するリスクもあるため注意が必要です。
●被せ物の破損
過蓋咬合になると歯に過度な力がかかるため、被せ物が破損しやすくなります。
被せ物が破損すると、修復するために歯を削る必要があり、一時的な仮歯が必要になることもあります。
被せ物を作製しても破損を繰り返すと、食事にも支障をきたし、最終的には歯を失う可能性もあります。
●顎関節症
過蓋咬合によって、咬み合わせが深くなることで顎関節に負担がかかりやすくなります。
顎がカクカクする、口が開け閉めしにくい、こめかみが痛むなどの症状があれば、顎関節症の可能性があります。
咬み合わせと顎関節症の関係は複雑で、咬み合わせが改善しても症状が完全に改善するとは限りません。
しかし、さらなる悪化を防ぐためにも早めの改善が必要です。
過蓋咬合(かがいこうごう)の
予防方法
●習癖の改善
頬杖、うつ伏せ寝、指しゃぶり、唇を咬む癖などは、過蓋咬合を引き起こす可能性があります。
これらの癖は、お口周りの筋肉のバランスを崩す原因になるため、注意が必要です。
無意識の癖なので改善は難しいかもしれませんが、意識的に直すようにしましょう。
●奥歯の治療を放置しない
過蓋咬合を予防するためには、奥歯の咬み合わせを正しい位置に保つことが大切です。
例えば、根管治療中の歯を放置したり、インプラントや入れ歯の治療を先延ばしにしたりすると、奥歯の咬み合わせが低くなり、過蓋咬合を招く恐れがありますので早めに治療をするようにしましょう。
●乳歯の脱落と永久歯の生え変わり時期
乳歯が早期に虫歯になって抜歯が必要になると、永久歯が生えてくるまでの期間が長くなります。
永久歯の生え変わりが遅いと感じた場合は、一度ご相談ください。
●正しい姿勢を意識する
猫背や顎を突き出して首が前に出ているような姿勢は、下顎の筋肉を緊張させる原因になります。
背筋を伸ばし、正しい姿勢を維持するように努めましょう。
過蓋咬合(かがいこうごう)に
対する治療法
上顎と下顎のバランスが崩れる過蓋咬合は、将来の歯並びや咬み合わせに悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、口腔内の異常や全身の不調を引き起こす恐れもあるため、早めの治療が重要です。
当院では、過蓋咬合の治療はもちろん、お子さまのお口に関するお悩み全般にも対応しています。
気になることがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
マウスピース矯正(インビザライン)
マウスピース矯正(インビザライン)は、透明なプラスチック製のマウスピースを使用して歯を動かす矯正方法です。
このマウスピースはカスタムメイドで、患者様の歯の形に合わせて作製されます。
インビザラインは、数週間ごとに新しいマウスピースに交換しながら、少しずつ歯を理想的な位置に移動させます。
また、治療開始前に3Dシミュレーション技術を用いて、歯の動きと最終的な矯正結果を確認することができます。
このシミュレーションに基づいて一連のマウスピースが作製されるため、計画通りに治療が進むかどうかを随時確認できます。
マウスピース矯正(インビザライン)のメリット・デメリット
<メリット>
・透明なマウスピースを使用するため、ほとんど目立たない。
・自身で取り外せるので、外出時や人前で外すことが可能。
(特に接客業におすすめです。)
・段階的に形を変えて歯を動かすため、痛みが少ない。
・取り付け、取り外しが簡単。
<デメリット>
・難しい症例には適用できない場合がある。
・食事と歯磨き以外は常に装着する必要がある。(20時間以上の装着)
・初期の段階や慣れないうちは違和感がある。
・本人の装着努力に治療効果が左右される
ワイヤー矯正は、金属やセラミック製のブラケットを歯の表面に接着し、それらをワイヤーで繋いで歯を動かす矯正方法です。
ブラケットとワイヤーを用いて、歯に持続的な圧力をかけ、少しずつ歯を理想的な位置に移動させます。
この方法では、歯科医が定期的にワイヤーを調整することで、歯の動きをコントロールします。
調整は通常1か月に一度行われ、その都度少しずつ歯を動かすため、治療期間は患者様の歯の状態により異なりますが、一般的には1〜3年です。
ワイヤー矯正のメリット・デメリット
<メリット>
・取り外しの手間がなく、自己管理がしやすい。
・歯の状態に合わせた計画的な治療ができる。
・重度の不正咬合でも治療可能。
<デメリット>
・金属製の矯正装置が目立つ。
・食事や歯磨きがしづらい。
・装置の金具で口内を痛めることがある。
・インビザラインと比べて通院回数が多い。
よくある質問
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過蓋咬合(かがいこうごう)を治せば、ガミースマイルも改善しますか?すべてが対象という訳ではありませんが、過蓋咬合(かがいこうごう)が原因で起こるガミースマイルの場合は改善する見込みがあります。
ただし、ガミースマイルには骨格が原因で発症している場合もあるため、その場合は矯正治療のみで改善することは難しくなります。 -
過蓋咬合(かがいこうごう)が原因で歯が削れることはありますか?構造的に正常な咬み合わせと比較して過蓋咬合(かがいこうごう)は咬み合わせが深いため、一部の歯に過度な力が歯に加わる可能性があります。
削れた歯は二度と同じ状態に戻ることはないため、歯の削れ感を感じる場合は自己判断せず早急に専門医に相談してください。 -
歯ぎしりがひどいのですが、過蓋咬合(かがいこうごう)はナイトガードだけで治りますか?ナイトガードは歯ぎしりから歯を守る役割を担う器具であるため、過蓋咬合(かがいこうごう)を直接的に改善させるのは難しいでしょう。
歯ぎしりの程度によっても適切な治療方法が異なりますので、まずは専門医へご相談ください。 -
定期検診で過蓋咬合(かがいこうごう)と指摘されたのですが、必ず歯列矯正しないとだめですか?過蓋咬合(かがいこうごう)になっていると、それに起因してさまざまなトラブルを引き起こす可能性があります。
必ず矯正をしないといけない訳ではありませんが、歯列矯正が望まれる状態であることが多いため、一度専門医にご相談いただくことをおすすめします。 -
過蓋咬合(かがいこうごう)の治療期間はどれくらいですか?過蓋咬合(かがいこうごう)の治療期間は、状態や個人差があるため治療期間はそれぞれ異なりますが、平均して約2〜3年ほどは必要になる場合が多いです。